まちの本屋で、創業の一歩を踏み出す。
6月24日、昭島の人気ブックカフェ「マルベリーフィールド」で開催された創業したい人向けの座談会。
BALL.DEPARTMENTで参加者を募集したところ、想いを持った4名が集まったアットホームな2時間となりましたのでその様子をご報告します。
コーヒーとともに、創業の想いを交わす
主宰はマルベリーフィールドの店主である勝澤光(かつざわひかる)さん。ご両親から事業承継した本屋にカフェやサンドイッチのテイクアウト、ギャラリー機能を次々と付設していった経験豊富な方です。
会場となったのは書店の地下にあるギャラリー。白い壁に囲まれた小部屋のような空間で、マルベリーのコーヒーや辛口ジンジャエールを片手に過ごすだけでリラックスできます。創業を考えている人が集まるだけあって、人見知りなひとが少なくてアイスブレイクのいらない自然な始まりとなりました。
参加者の1人、奥田さんはお店の常連客さん。カフェスペースに貼ってあった座談会の案内チラシを見て、前日夜に駆け込みで申し込んでくれました。左 奥田さん、右 勝澤さん
まずはどんなことで創業を考えているか、一人ひとりのシェアからです。
キャリアコンサルティングとアーユルヴェーダを掛け合わせたいという奥田さん、知り合いがやっている居酒屋を昼間だけ使わせてもらっておにぎり屋さんをやりたいという女性、大好きなちゃんぽん屋の味を継ぎたくて仕事終わりにはそのお店で働いているという人までいました。趣味の陶芸とカウンセリング資格を掛け合わせて、マインドフルネスにつながる陶芸教室を考えている人も。
飲食をやりたい2人と、メンタル系をしたい2人ときれいに分かれていることに気づきます。勝澤さんからも「マルベリーでもいろんなイベントをやりますが、メンタル関係の企画は申込率が群を抜いています」とのこと。お腹を満たす、心を満たす。飲食とメンタル系にも通じるものがありそうです。
自分だけの指針“北極星”を見つける
それぞれの背景ややりたいことが少しシェアできた後に、勝澤さんから経験者にしか語れない、具体的なエピソードの数々が披露されました。
なかでも、売上計画や損益分岐といった「数字」については創業前だと楽観的に考えがちだということ、酸いも甘いも知り尽くした先輩経営者に数字を見てもらうことが一番のフィードバックになることなど、創業を考えて行動を始めている人たち相手だからこそ、リアルで切実な話が続きました。より具体的な数字を出すためには、地域の人口だけではなく、お店の前の交通量調査の数字も調べると良いといった超実践編も話してくれました。
おにぎり屋を始めたい女性からは「数字を計算してみたら、むしろ利益がなかなか出ないことが分かって辛くなった」という言葉も。勝澤さんやほかの参加者からは、「スープ専門店のようにお味噌汁をメインにして、おにぎりをサブで提供してみては?」「外食は野菜が食べられないから、野菜が摂れると嬉しい」など次々と声が上がります。続いて、勝澤さんが経営をするうえで一番大切にしているという「ビジョン」の話は、その熱が参加者にも一番強く伝わりました。勝澤さんにとってビジョンとは“北極星”のこと、進むべき道を示す“方向性”そのものであって、何年かかってもたどり着くことができない遠くの遠くのもの。だけど、確実に見えていて、その方向に進めば経営はブレない。そんな存在らしいです。
仕事をしていても、自分がどこに向かって進んでいるのか分からないとしんどくなりますよね。けれど、遠くに北極星が見えてそこに向かって歩いてみると、案外その道中にも楽しいことがあって歩き続けられる。創業しない人にとっても、自分だけの北極星を見つけることは大事な気がしました。
2時間の座談会は少人数でたくさん喋った後も、お店の軒先で立ち話が続きます。「来て良かった。自分のためのイベントに感じた」という声や、関心の領域が近い人同士で悩みのシェアまで。
マルベリーフィールドは「知の交差点でありたい」と話す勝澤さん。まさにその一端が見えたイベントになりました。次回は7月22日(土)の14:00~16:00に2回目の座談会を開催します。内容は同じですので、1回目に参加できなかった皆さんお待ちしています。
ほかにも元日本代表キャプテンとのフットサル体験や整体イベントなど、興味のあるものをBALL.DEPARTMENTでチェックしてみてくださいね。